2013年5月14日火曜日

もんじゅをタクシーにたとえると?止まったままの高速増殖炉にわざわざ「停止命令」が出る意味



ボク高速増殖炉もんじゅに、いよいよ国の原子力規制委員会さんが「あまりにも管理がずさんだから、無期限で使用停止に」という命令を出そうかと検討しているの。


2013年5月13日23時16分  読売新聞
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 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で機器の点検漏れが1万件近くも見つかった問題で、原子力規制委員会は原子炉等規制法に基づき、試験運転の再開に向けた準備を見合わせるよう同機構に命じる検討に入った。
 安全に原発を動かすための管理体制が不十分だと判断した。15日の定例会合で協議する。
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記事によれば、ボクの処分は5月15日の会合ではなしあわれるみたいだね。ドキドキですだよ。
もし停止命令がきまれば、すくなくとも今年度中の稼働はなさそう。

といっても、ボク高速増殖炉もんじゅは、いまも停止中なの。
ボクもんじゅのことを「いまは動いている」「停止命令が出たらストップする」と思っている人もいるかもしれないけれど、じつは2010年からずっと止まったままなんだ。

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タクシーにたとえておはなしすると、ボクもんじゅはとってもポンコツな型落ちのクルマ
車のボディもポンコツだし、運転手さんもポンコツなんだよ。

その運転手さんというのは、JAEA=日本原子力研究開発機構=といって、文部科学省の管轄の研究団体なんだけどもね。

マシンの性能がポンコツなのに、運転手さんのきもちがゆるみっぱなしで、車検もちゃんと通さずにごまかす(*1)、これまでの走行実績は4か月しかないのに、大事故(*2)のあと、15年のブランクをへて、ほとぼりがさめたと思って2010年にまた走りだしたら、やっぱり1か月たらずで事故(*3)を起こす、故障した原因はメーカーの東芝さんのリコールレベルの設計ミスなのに、見積もりを出されるがままに20億円かけて修理(*4)しちゃう、ぜんぜん走ってないのになぜか運賃だけはかかって、国民みんなで毎日5500万円ずつ払ってる……。

そんなタクシーがあったら、絶対に乗りたくないでしょ。
それがボク、高速増殖炉もんじゅなの。

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じゃあ、そんな止まったままのタクシーに、なんでわざわざ国の原子力規制委員会さんは「停止命令」を出そうとしているんだろうね?

それは、いまの状態というのは、ボクのパパの運転手チームが

「まぁ、オレたち、事故もこれまでに何回も起こしてるしなぁ。悪気はないんだけどなぁ」
研究に失敗はつきものなんだ。気にすることないさ」(*5)
「しろうとにはオレらのやってる高速増殖炉のかっこよさがわからないんだよなぁ。残念だなぁ」
「とはいえ、ふくいち君があいかわらず重体のままだから、世間の風当たりもきびしいし」
「いやいや、待っていればじきに空気も変わるって」
ようすみて再稼働させたいっすね」
「そのためにも粛々と準備をすすめるこったな」
「まぁ、あのあたらしくできた原子力規制委員会がうるさいこといわなきゃいいなぁ」

と、稼働を禁止されているわけではないんだけれども、動かすときには規制委員会のチェックもうけないといけないし、なんとなく世間や規制委員会の出方をうかがっている、というあいまいな状態だったの。様子見、という感じだよね。

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それがもし、規制委員会から使用停止命令が正式に出るならば、それはポンコツタクシー会社にたいして警察から「おまえのところは車検もちゃんと通してないんだから、しばらく謹慎しろ。クルマにさわっちゃダメだ!」という命令が出るようなものなんだね。

「免許取消」まではいかないけれども、無期限の「免停」をうける、というような感じ。

クルマにさわっちゃダメだから、再稼働の準備をするのもしばらくはむずかしくなっちゃう。

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ただ、ほんとうのことをいうと、これまでのJAEAとボクもんじゅのはたらきぶりをみてみれば、運転手さんはもう免許取消にあってもおかしくないし、タクシー会社を解体したっていいくらいのおはなしなんじゃないかなぁ。

年間200億円の予算を費消しながら、ひたすら「待機」だけをつづけるタクシー会社なんだもん。

もちろん、ボクもんじゅだって、ほんとは廃車にしたっていいレベルなんだよね。だって1994年にできてから、事故が多くて4か月しか走ったことのないクルマなんて、あぶなくって乗りたくないでしょ。

(クルマの廃車とちがって、ボクたち原子炉のばあいは廃炉の方法も確立されてないし、お金がどれだけかかるかもわからないの。でもとりあえず廃炉を決めて、なかのナトリウムをとりだしちゃうだけでも、事故のリスクはぐっと減るんだよ)

そんなわけで、あさっての規制委員会さんの会合のゆくえがとっても気になるところなんですだよ。


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ちなみに文中のもんじゅのトラブル(*)のくわしい説明はこちらですだよ。

*1 ことし2013年1月にバレた、1万か所ちかい点検漏れのこと

*2 1995年のナトリウム漏れ火災事故のこと。組織ぐるみの事故隠しが発覚し、その後、調査担当者が自殺した

*3 2010年の炉内中継装置落下事故のこと。核燃料を交換するためのUFOキャッチャーのクレーンのような部品の一部が落っこちて、どうしてもとりだせなくなった

*4 *3の翌年の、落下事故の修復作業のこと。この修復プロジェクトの担当者も自殺している

*5 ことし2013年4月に就任したもんじゅの広井博・所長が、中日新聞に語った言葉
「トラブルは起きて当然というスタンスでは国民の皆さんに怒られるが、新たな挑戦にトラブルの克服と改善はつきもの」
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2013050102000178.html





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